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脊柱管狭窄症の治療はどう進む?保存療法から手術までの判断基準

脊柱管狭窄症は、正式には腰部脊柱管狭窄症と呼ばれ、背骨の中を通る神経の通り道が狭くなって神経が圧迫される状態を指します。代表的な症状は、歩いていると足がしびれて、少し休むとまた歩けるようになる間欠跛行です。間欠性跛行と表記されることもあります。

治療と聞いて手術を思い浮かべる方は少なくありませんが、実際には薬や運動療法などの保存療法から始めるのが基本になります。どこまで保存療法を続け、どの段階で手術を考えるのかという判断こそ、この病気で最も迷いやすいところでしょう。治し方を探して情報を集めても、術式の説明ばかりで判断の基準が見つからないという声もよく聞きます。

この記事では、症状のタイプ分けから保存療法の進め方、手術を検討する目安までを順に整理します。蕨セントラル整形外科でも腰部脊柱管狭窄症を診療しており、症状の見極めから運動器リハビリテーションまで対応できる体制です。

この記事の監修者

蕨セントラル整形外科 院長 宮沢知修

蕨セントラル整形外科 院長 宮沢 知修

日本整形外科学会認定 整形外科専門医/日本スポーツ協会公認 スポーツドクター/運動器リハビリテーション認定医

埼玉医科大学を卒業後、朝霞台中央総合病院、虎ノ門病院、坂戸中央病院などに勤務。2025年4月より蕨セントラル整形外科の院長を務めています。整形外科専門医として、骨や関節、筋肉、神経といった運動器の痛みやけがの診療にあたっています。

本記事は、蕨セントラル整形外科の院長である宮沢知修医師が、医学的な観点から内容を確認しています。

脊柱管狭窄症とはどのような状態か

脊柱管狭窄症は、背骨の中にある脊柱管という神経の通り道が狭くなり、中を通る神経が圧迫される状態です。加齢とともに椎間板がふくらみ、靭帯が厚くなり、背骨が変形していくことで、通り道が少しずつ狭まっていきます。生まれつき脊柱管が狭い方では、比較的若い年代から症状が出ることもあります。腰椎すべり症のように背骨のずれを伴う場合には、狭窄がさらに進みやすくなるでしょう。

決してまれな病気ではありません。40歳から79歳の日本人を対象にした疫学調査では有病率が5.7%と報告されており、この年代だけで約365万人が該当すると推計されました。40代では1.9%にとどまる一方、70代では10.8%まで上がります。年齢を重ねるほど身近になる病気だとお考えください。

進み方にも特徴があります。ある日突然歩けなくなるというより、歩ける距離が少しずつ短くなり、休む回数が増えていくという形で進むことが多いのです。以前は駅まで歩けたのに途中で座りたくなる、買い物の途中で立ち止まる回数が増えたという変化は、見過ごされやすい初期のサインでしょう。

タイプごとに異なる症状の出方と緊急度

症状の出方は、どこが圧迫されているかによって3つに分かれます。片側の足に痛みやしびれが出る神経根型、両足のしびれや脱力が広がる馬尾型、そして両方の特徴を併せ持つ混合型です。神経根型の症状は、坐骨神経痛という言葉で表現されることもあります。

この分類は、名前を知って終わりにするものではありません。神経根型は保存療法で症状が落ち着く方も多い一方、馬尾型は神経の障害が進みやすく、手術を早めに検討する場面が出てきます。同じ病名でも進め方が変わるため、自分がどのタイプに近いのかを診察で確認してもらいましょう。

腰痛そのものは軽いか、ほとんど無いという方もいます。日本臨床整形外科学会も、下肢の痛みとしびれが主体で腰痛は軽いか無い場合が多いと説明しています。腰が痛くないから腰の病気ではないと考えて、受診が遅れてしまうケースもあるでしょう。

間欠跛行が出たときの見分け方

歩くと足がしびれて休むと回復する間欠跛行には、神経が原因のものと血管が原因のものがあります。どちらも歩けなくなるという点では同じでも、原因が違えば受診すべき診療科も治療内容も変わってきます。

見分ける手がかりは姿勢です。脊柱管狭窄症による間欠跛行は、前かがみになると脊柱管が広がるため症状がやわらぎます。蕨セントラル整形外科の診療内容でも、背筋を伸ばして立つとふとももや膝から下にしびれや痛みが出て、少し前かがみになったり腰かけたりすると軽減すると説明しています。自転車なら長い距離を走れるという方が多いのも、前傾姿勢が保たれるからでしょう。

一方、足の血管が細くなる閉塞性動脈硬化症でも似た症状が出ますが、こちらは姿勢を変えても楽になりません。足が冷たい、足の甲の脈が触れにくいといった特徴があり、確認すべき点が異なります。糖尿病や喫煙の習慣がある方では血管の側の可能性も考えますし、両方を併せ持つ方もいますので、自己判断で決めつけない方が安全でしょう。

何科にかかればよいか迷ったときは、まず整形外科を受診してください。レントゲンやMRIで背骨の状態を確認し、神経の症状を診察で確かめることで、原因の切り分けが進みます。

診断で行う検査の役割

検査は、狭窄の有無を見るだけでなく、症状の原因が本当に背骨にあるのかを確かめるために行います。レントゲンでは背骨の変形やすべり、並びの崩れを確認します。神経や靭帯、椎間板の状態まで見たいときにはMRIが役立つでしょう。

画像だけで治療方針が決まるわけではありません。画像の狭窄が軽くても症状の強い方がいますし、逆に画像で強い狭窄があっても日常生活に困っていない方もいます。診察で確かめた症状と画像所見を突き合わせて、はじめて治療の優先順位が決まります。必要に応じて、造影剤を使う脊髄造影検査や神経ブロックによる確認を加えることもあるでしょう。

保存療法から段階的に進める治療の流れ

脊柱管狭窄症の治療は、保存療法から始めて効果を確かめながら次の手段へ進めていく形が基本になります。日本整形外科学会と日本脊椎脊髄病学会がまとめた診療ガイドラインでも、薬物治療、運動療法、装具療法、ブロック療法といった保存治療が、手術治療と並ぶ柱として整理されています。

薬物療法で使われるのは、炎症や痛みを抑える薬、しびれのような神経の痛みに使う薬、神経のまわりの血流を改善する薬などです。効き方には個人差がありますから、経過を見ながら調整していくことになるでしょう。痛みが軽くなった時期に運動療法を進めやすくなるという点でも、薬の役割は小さくありません。

運動療法の目的は、腰を反らせずに動ける体をつくることにあります。おなかや背中の深い部分にある筋肉を働かせて腰椎を安定させ、股関節や太ももの柔軟性を高めていきます。股関節の前側や太ももの前面が硬いと、立っているときに骨盤が前へ傾いて腰が反りやすくなるため、ここをゆるめることにも意味があるでしょう。蕨セントラル整形外科では、理学療法士が行う運動器リハビリテーションを実施しており、自宅で続けられるセルフケアの指導も受けられます。

コルセットなどの装具は、腰を反らせすぎない姿勢を保つ助けになります。ただし長く頼りきると体幹の筋力が落ちてしまうため、運動療法と組み合わせて使う考え方が大切でしょう。

神経ブロックは、痛みの強い神経の周囲に薬を注射して炎症と痛みを抑える方法です。痛みが和らいでいる間にリハビリを進められる点にも意味があります。効果の続く長さには差がありますので、注射だけで解決すると考えず、運動療法と並行して進めていきましょう。

次の段階へ進む判断の目安

保存療法をどのくらい続けるべきかという質問は、診察の場でもよくいただきます。数か月続けても歩ける距離が伸びない、痛みで夜も眠れない、仕事や外出をあきらめる場面が増えているという状態であれば、次の選択肢を検討する時期に入ったと考えてよいでしょう。

ここで大切なのは、期間だけで機械的に区切らないことです。歩ける距離、しびれの範囲、日常生活で困っている場面という3つの変化を記録しておくと、医師と一緒に判断しやすくなります。受診のたびに前回からどう変わったかを伝えられれば、治療方針の見直しも早くなるでしょう。

手術を検討するタイミングと急ぐべきサイン

手術を考えるのは、保存療法を続けても日常生活の支障が改善しないときと、神経の障害が進んでいるときです。逆にいえば、痛みやしびれがあっても生活に支障が少ない段階であれば、保存療法を続けながら様子を見る選択も十分にありえます。

手術の中心になるのは、神経の通り道を広げる除圧術です。背骨のぐらつきやすべりを伴う場合には、金属で固定する固定術を組み合わせることがあります。内視鏡や顕微鏡を使う低侵襲な方法も選択肢に入り、体への負担を抑える工夫が進んできました。

一方で、待たずに相談してほしい症状もあります。尿が出にくい、尿や便がもれる、股のまわりがしびれるといった膀胱直腸障害は、馬尾が強く圧迫されているサインです。足首が上がらない、階段でつまずくといった筋力低下が短い期間で進む場合も同じく急ぎます。こうした症状があるときは、様子を見ずに受診してください。

年齢を理由に最初からあきらめる必要もありません。診療ガイドラインでも超高齢者への手術適応が検討課題として取り上げられており、全身の状態や合併症を踏まえて個別に判断されます。高齢だから手術は無理だと自分で結論を出さず、まずは相談してみましょう。

手術を受けた後も、リハビリを続ける期間が必要になります。神経の圧迫が取れても、それまで動かせずにいた筋肉や関節はすぐには元に戻りません。術後の理学療法は診療ガイドラインでも検討項目として扱われており、手術と組み合わせて考えるものだとお考えください。

悪化させないために避けたい習慣

治療の効果を下げてしまう行動もあります。腰を強く反らせる姿勢を長く続けること、痛みを我慢して歩き続けること、そして診断がつかないまま自己流の対処を長く続けることが代表的でしょう。

腰を反らせると脊柱管はさらに狭くなります。高い場所の物を取る、洗濯物を干す、うつぶせで背中を反らす体操をするといった場面では、症状が強く出やすくなります。重い荷物を持ったまま背中を反らせる姿勢も避けたいところです。

治らないと感じる背景には、そもそも診断が合っていない場合と、タイプに合わない対処を続けている場合があります。腰を強く反らせるストレッチが誰にでも合うわけではありませんので、自分の症状に合った動かし方を専門家に確認する方が回り道になりません。原因を確かめないまま時間だけが過ぎるリスクは、想像より大きいとお考えください。

マッサージや温めることで一時的に楽になる方もいます。楽になること自体が問題なのではありませんが、症状が進んでいるサインを見落としたまま様子見が長引くと、判断のタイミングを逃してしまうでしょう。少なくとも一度は画像検査を含めた診察を受けて、今どの段階にいるのかを確かめておくと安心です。

再発や進行の予防という観点では、歩ける距離を少しずつ延ばす習慣が役立ちます。休みをはさみながら歩く方法であれば、痛みを強めずに運動量を確保できます。長時間立ちっぱなしになりそうな日は、途中で腰かける時間をあらかじめ組み込んでおくと楽になるでしょう。体重の管理や、同じ姿勢を続けない工夫もあわせて意識しておきましょう。

よくある質問

Q. 脊柱管狭窄症は自然に治りますか。

A. 狭くなった脊柱管そのものが自然に広がることはありません。ただし症状は変動するもので、保存療法によって痛みやしびれが落ち着き、日常生活に支障のない状態を保てている方も多くいます。症状が軽いうちに動き方を整えておくことが、その後の経過を左右するでしょう。

Q. 脊柱管狭窄症は何科を受診すればよいですか。

A. まず整形外科を受診してください。レントゲンやMRIによる画像検査と診察を組み合わせることで、症状の原因と重症度を確認できます。足の血管が原因の場合もありますので、診察のうえで必要な科につないでもらう流れが安全でしょう。

Q. 手術しないで治す方法はありますか。

A. 保存療法だけで日常生活に困らない状態まで改善する方は少なくありません。ただし膀胱直腸障害や、短い期間で進む筋力低下があるときは、手術を含めた検討が必要になります。手術を避けたいという希望は遠慮なく主治医に伝えてください。

Q. 脊柱管狭窄症でやってはいけないことは何ですか。

A. 腰を強く反らせる姿勢を長く続けること、痛みを我慢して歩き続けること、原因がはっきりしないまま自己流の対処を続けることの3つに注意してください。

Q. リハビリはどのくらいの期間続ければよいですか。

A. 症状やタイプによって幅がありますが、数週間から数か月かけて経過を見ていくことが一般的です。歩ける距離やしびれの範囲の変化を記録しておくと、続ける期間の判断がしやすくなるでしょう。

蕨で脊柱管狭窄症の症状に悩んだら

歩ける距離が短くなってきた、足のしびれが気になり始めたという段階でも、受診をためらう必要はありません。原因を早く確かめておくほど、選べる対処の幅は広く残ります。

蕨セントラル整形外科は、骨、筋肉、靭帯、関節、神経といった運動器の疾患全般に対応しており、腰部脊柱管狭窄症も診療しています。診察と画像検査で症状の原因を切り分けたうえで、理学療法士が行う運動器リハビリテーションまで一貫して進められる体制です。

JR京浜東北線の蕨駅から徒歩8分の場所にあり、無料駐車場を30台分完備しています。小さなお子さんからご高齢の方まで幅広い年齢層の方が受診されていますので、歩行時の痛みやしびれが気になる方は一度ご相談ください。

参考文献

1.   Yabuki S, Fukumori N, Takegami M, et al. Prevalence of lumbar spinal stenosis, using the diagnostic support tool, and correlated factors in Japan: a population-based study. Journal of Orthopaedic Science, 18(6):893-900, 2013.

2.   日本整形外科学会・日本脊椎脊髄病学会 監修「腰部脊柱管狭窄症診療ガイドライン2021 改訂第2版」南江堂, 2021.

3.   日本臨床整形外科学会「腰部脊柱管狭窄症」

4.   大島正史, 徳橋泰明「腰部脊柱管狭窄症の診断と治療」日大医学雑誌, 71巻2号, 116-120頁, 2012.

 

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