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坐骨神経痛の治し方は原因で変わる?長引くときに見直したいこと

坐骨神経痛は病名ではなく、腰からお尻、太ももの裏、ふくらはぎへと走る坐骨神経が刺激されて起こる症状の総称です。原因になる病気はいくつもあり、どれが背景にあるかで効く対処が変わってきます。

治し方を調べるとストレッチや温め方の手順が並びますが、原因を確かめないまま試すと、かえって症状を強めてしまう場合があります。前かがみで楽になる人と、前かがみで痛みが増す人では、避けるべき動きが正反対になるからでしょう。

この記事では、原因になる主な病気の見分け方から、長引くときに起きていること、自分でできる対処と受診の目安までを順に整理します。蕨セントラル整形外科は骨、筋肉、靭帯、関節、神経といった運動器の疾患全般に対応しており、お尻から足に広がる症状の原因を診察と画像検査で切り分けています。

この記事の監修者

蕨セントラル整形外科 院長 宮沢知修

蕨セントラル整形外科 院長 宮沢 知修

日本整形外科学会認定 整形外科専門医/日本スポーツ協会公認 スポーツドクター/運動器リハビリテーション認定医

埼玉医科大学を卒業後、朝霞台中央総合病院、虎ノ門病院、坂戸中央病院などに勤務。2025年4月より蕨セントラル整形外科の院長を務めています。整形外科専門医として、骨や関節、筋肉、神経といった運動器の痛みやけがの診療にあたっています。

本記事は、蕨セントラル整形外科の院長である宮沢知修医師が、医学的な観点から内容を確認しています。

坐骨神経痛は病名ではなく症状

坐骨神経痛は診断名ではなく、坐骨神経の走行に沿って現れる痛みやしびれをまとめて呼ぶ言葉です。坐骨神経は腰の骨から出た神経が集まってできる、体の中で最も太くて長い神経になります。骨盤の出口を通ってお尻の奥を抜け、太ももの裏からふくらはぎ、足先まで伸びていく経路をたどります。この経路のどこかで神経が圧迫されたり刺激されたりすると、その先の範囲に症状が出るのです。

感じ方はさまざまでしょう。ずきずきする痛み、電気が走るようなしびれ、皮膚の感覚が鈍い感じ、力が入りにくい感じなどが挙げられます。片側だけに出ることが多い一方、両側に出る方もいます。腰の痛みは軽いか、ほとんど無いという方も珍しくありません。

言葉としての広まり方にも特徴があります。Konstantinouらのレビューでは、坐骨神経痛の有病率を調べた23の研究を集めたところ、報告された割合は1.2%から43%まで大きく開いていました。定義や調べ方が研究ごとに違うためで、それだけ幅広い症状がこの言葉でまとめられていることの表れでもあるでしょう。

似た症状でも坐骨神経痛ではないケースがあります。太ももの裏の筋肉が張っているだけの筋肉痛は、伸ばすと痛みが出る一方で、しびれや感覚の鈍さは伴いません。股関節の病気では脚のつけ根や太ももの前側が痛むことが多く、足先までは広がらない傾向にあります。足の血管が細くなる病気でも歩行時に痛みが出ますが、こちらは姿勢を変えても楽にならず、足の冷たさや脈の触れにくさを伴う点が異なるでしょう。

坐骨神経痛の原因になる主な病気と見分け方

原因として多いのは、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、梨状筋症候群の3つです。どれに当てはまるかで、楽になる姿勢も避けたい動きも変わってきます。

腰椎椎間板ヘルニアは、椎間板の中身が飛び出して神経の根元を圧迫する状態です。30代から50代に多く、前かがみになると痛みが強まり、椅子に座っているときのほうがつらいという訴えが目立ちます。くしゃみや咳で腰から足へ響く点も特徴的でしょう。

腰部脊柱管狭窄症では、逆に前かがみになると症状がやわらぎます。蕨セントラル整形外科の診療内容でも、背筋を伸ばして立つとふとももや膝から下にしびれや痛みが出て、少し前かがみになったり腰かけたりすると軽減すると説明しています。歩き続けると症状が出て休むと戻る間欠跛行があり、加齢とともに増えていく病気です。

梨状筋症候群は、お尻の奥にある梨状筋が坐骨神経を圧迫することで起こります。済生会の解説では、坐骨神経が骨盤の出口部で梨状筋の圧迫や刺激を受けて痛みが生じる状態と説明され、股関節を動かしたときに臀部から太ももの後面にかけて痛みが強くなる場合があると記されました。長時間座る仕事や、運動での股関節の使いすぎが引き金になることもあります。

原因が1つとは限らない点にも触れておきます。加齢とともに椎間板の変性と脊柱管の狭窄が同時に進むことは珍しくなく、そこに座りっぱなしによるお尻の筋肉の硬さが重なる場合もあるでしょう。どれが症状の主役なのかを見極めないと、対処の順番を間違えてしまいます。

まれではありますが、腫瘍や血管の病気、糖尿病による神経障害が背景にあるケースも報告されています。自己判断で決めつけず、まずは整形外科で原因を確かめてください。診察と画像検査を組み合わせれば、どの病気に近いのかを絞り込めます。

治らないと感じるときに起きていること

坐骨神経痛が長引く背景には、原因が特定されないまま対症療法だけを続け、痛みを避けて動かなくなり、筋力が落ちてまた痛みが戻るという連鎖があります。どこかの段階で流れを断ち切らないと、同じところを回り続けてしまうでしょう。

始まりは、原因になっている病気が分からないままになっている状態です。坐骨神経痛という言葉は症状の呼び名にすぎないため、そこで説明が止まると、自分に合う対処を選べません。ヘルニアの方に狭窄症向けの動きをすすめても、症状は落ち着かないでしょう。

次に起きやすいのが、痛み止めと湿布だけで様子を見続ける段階です。薬は痛みを和らげる役割を果たし、痛みが強いときには神経ブロックという選択肢も加わりますが、いずれも神経が圧迫されている状態そのものを変えるわけではありません。痛みが軽くなっている間に体を動かして、支える力を取り戻すところまで進めたいところです。

そして痛みを避けるうちに、動く量が減っていきます。日本整形外科学会と日本腰痛学会がまとめた腰痛診療ガイドラインでも、安静と活動性の維持のどちらが有用かが検討課題として取り上げられており、痛みが強い時期を過ぎたら動ける範囲を保つ方向が重視されています。じっとしている時間が長引くほど、腰やお尻を支える筋力は落ちてしまうでしょう。

最後の段階が慢性化と再発です。痛みが長く続くと、本来なら痛みを感じない程度の刺激にも敏感になっていきます。痛みで眠りが浅くなり、疲れが取れないことでさらに痛みを強く感じるという悪循環も起こりがちです。ここまで来ると回復に時間がかかるため、早い段階で原因を確かめておく価値は大きいとお考えください。

自分でできる対処と受診の目安

セルフケアの基本は、痛みが強くなる動きを避けながら、姿勢を整えて動く量を保つことにあります。特別な器具は要りませんが、自分の原因に合う方法を選ぶ視点は欠かせません。

座り方から見直してみましょう。浅く腰かけて背中を丸めると、腰の椎間板にかかる圧力が高まります。深く腰かけて背もたれを使い、腰の後ろにすき間ができないよう整えるだけでも負担は変わるでしょう。同じ姿勢を続けないことも大切で、1時間に一度は立ち上がって体勢を変えてください。

ストレッチは、痛みが出ない範囲にとどめるのが原則です。お尻の奥や太ももの裏をゆっくり伸ばす動きは、梨状筋が関係している場合に楽になることがあります。反対に、腰を強く反らせる体操は狭窄症の方には向きませんし、腰を深く丸める動きはヘルニアの方の症状を強めることがあるため、自分に合う方向を専門家に確認するほうが回り道になりません。

歩く習慣も、無理のない範囲で保ちたいところです。痛みが強い日は距離を短くし、休みをはさみながら歩けば運動量を確保できます。蕨セントラル整形外科では、理学療法士が行う運動器リハビリテーションを実施しており、原因に合わせた運動療法と動かし方の指導も受けられます。

立ち仕事とデスクワークでの工夫

同じ姿勢が続く仕事では、負担のかかり方が職種によって変わります。立ち仕事の方は、片足を10センチほどの台に交互に乗せると骨盤が安定し、腰の反りを抑えられます。かかとの高い靴や底の薄い靴は、腰への衝撃が伝わりやすいため見直してみましょう。

デスクワークの方は、椅子の高さを膝が股関節と同じか少し低くなる位置に合わせてください。画面が低いと背中が丸まりやすいため、目線の高さに近づける工夫も効きます。長時間の運転でも同じで、シートを起こしぎみにして腰の後ろにすき間ができないようにすると楽になるでしょう。

冷やす場面と温める場面

急に強い痛みが出た直後は冷やし、慢性的なこわばりや血流の低下が背景にあるときは温める、という使い分けが一般的です。ただし合う方法には個人差があり、温めて楽になる方もいれば、冷やしたほうが落ち着く方もいます。試してみて痛みが強くなるようなら、その方法は続けないでください。

市販薬や湿布で様子を見てよい範囲

市販の鎮痛薬や湿布で痛みが和らぎ、日常生活を送れているうちは、しばらく様子を見る選択もあります。ただし2週間ほど使っても変わらない、だんだん範囲が広がっている、夜間に目が覚めるほど痛むという場合は、原因を確かめる段階に入ったと考えましょう。

やってはいけないことと危険なサイン

避けたいのは、痛みを我慢して長時間同じ姿勢でいること、原因が分からないまま強い刺激を加えること、そして症状が進んでいるのに様子を見続けることです。この3つは、いずれも回復を遠ざける方向に働きます。

重い荷物を持ち上げる動作や、痛みをこらえての激しい運動も控えてください。マッサージや整体で一時的に楽になる方もいますが、原因が確かめられていない段階では、症状を強めてしまう可能性が残ります。楽になること自体が悪いのではなく、原因の確認を後回しにしたまま通い続ける点にリスクがあるとお考えください。

そして、待たずに相談してほしい症状があります。尿が出にくい、尿や便がもれる、股のまわりがしびれるといった変化は、馬尾と呼ばれる神経の束が強く圧迫されているサインです。足首が上がらない、つま先立ちができないという筋力低下が短い期間で進む場合も急ぎます。発熱を伴う、体重が減っている、がんの治療歴があるといった背景があるときも、早めに受診してください。

症状が落ち着いてきた時期にも、気をつけたい場面があります。楽になった実感から一気に運動量を戻したり、中断していた力仕事を元のペースで再開したりすると、痛みがぶり返しやすくなるものです。回復してきたときこそ、動きの量を少しずつ戻していく姿勢が求められます。

再発の予防では、体幹を支える筋肉を保つことと、同じ姿勢を長く続けない工夫が基本になります。腰を丸めたまま重い物を持ち上げない、長時間の運転では途中で休憩を挟むといった小さな積み重ねが効いてくるでしょう。痛みが消えた後もセルフケアを続けられるかどうかで、その先の経過は変わってきます。

よくある質問

Q. 坐骨神経痛は自然に治りますか。

A. 原因や程度によりますが、時間の経過とともに症状が軽くなる方は少なくありません。ただし坐骨神経痛は症状の呼び名であって病名ではないため、背景にある病気によって経過は変わります。数週間たっても改善しないときは、原因を確かめる段階に入ったと考えましょう。

Q. 坐骨神経痛は何科を受診すればよいですか。

A. まず整形外科を受診してください。問診と神経の診察に加えて、レントゲンやMRIによる画像検査を組み合わせることで、原因になっている病気を絞り込めます。血管や内科の病気が疑われる場合には、そこから適切な科につないでもらう流れが安全でしょう。

Q. 坐骨神経痛でやってはいけないことは何ですか。

A. 痛みを我慢して長時間同じ姿勢でいること、原因が分からないまま強い刺激を加えること、症状が進んでいるのに様子を見続けることの3つに注意してください。

Q. 坐骨神経痛は温めるのと冷やすのとどちらがよいですか。

A. 急に強い痛みが出た直後は冷やし、慢性的なこわばりには温めるという使い分けが一般的です。ただし個人差が大きいため、試して痛みが強くなる方法は続けないほうがよいでしょう。

Q. ストレッチはどのくらい続ければよいですか。

A. 痛みが出ない範囲で毎日続け、数週間かけて変化を見ていくのが目安になります。原因によって向く動きと向かない動きが分かれますので、始める前に整形外科で確認しておくと安心です。伸ばしている最中にしびれが強くなる、足の力が入りにくくなるといった変化があれば、その日は中止して次の受診時に伝えてください。

蕨で坐骨神経痛に悩んだら

お尻から足にかけての痛みやしびれが続いているなら、セルフケアを試す前に原因を確かめる段階から始めてみてください。原因がはっきりするほど、選べる対処の幅は広がります。

蕨セントラル整形外科は、骨、筋肉、靭帯、関節、神経といった運動器の疾患全般に対応しています。診察と画像検査で症状の原因を切り分けたうえで、理学療法士が行う運動器リハビリテーションまで一貫して進められる体制です。

JR京浜東北線の蕨駅から徒歩8分の場所にあり、無料駐車場を30台分完備しています。小さなお子さんからご高齢の方まで幅広い年齢層の方が受診されていますので、お尻や足の症状が気になる方は一度ご相談ください。

参考文献

1.   Konstantinou K, Dunn KM. Sciatica: review of epidemiological studies and prevalence estimates. Spine (Phila Pa 1976), 33(22):2464-2472, 2008.

2.   日本整形外科学会・日本腰痛学会 監修「腰痛診療ガイドライン2019 改訂第2版」南江堂, 2019.

3.   済生会「梨状筋症候群」(監修 鳥飼秀久 済生会習志野病院 脊椎外科センター長)

4.   日本臨床整形外科学会「腰部脊柱管狭窄症」

 



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