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椎間板ヘルニアの治療は手術が必要?自然に小さくなる確率と見極め

椎間板ヘルニアは、正式には腰椎椎間板ヘルニアと呼ばれ、背骨の間でクッションの役割を果たす椎間板の中身が飛び出して神経を圧迫する状態を指します。腰そのものよりも、お尻から足にかけて走る痛みやしびれのほうが強く出ることが多く、坐骨神経痛と表現される症状です。

椎間板ヘルニアの治し方を調べると手術の説明が先に目に入り、自分にも必要になるのではないかと不安になる方は少なくありませんが、飛び出した部分は時間とともに小さくなっていくことがよくあります。保存療法を受けた方を追跡した研究では、線維輪を破って脱出したタイプの7割で自然な縮小が確認されました。だからこそ、いま手術が必要な状態なのかどうかを見極めることが最初の一歩になるでしょう。

この記事では、腰部脊柱管狭窄症との見分け方から自然に小さくなる確率、保存療法の進め方と手術を考える目安までを順に整理します。蕨セントラル整形外科は骨、筋肉、靭帯、関節、神経といった運動器の疾患全般に対応しており、腰から足へ広がる症状の原因を診察と画像検査で切り分けています。

この記事の監修者

蕨セントラル整形外科 院長 宮沢知修

蕨セントラル整形外科 院長 宮沢 知修

日本整形外科学会認定 整形外科専門医/日本スポーツ協会公認 スポーツドクター/運動器リハビリテーション認定医

埼玉医科大学を卒業後、朝霞台中央総合病院、虎ノ門病院、坂戸中央病院などに勤務。2025年4月より蕨セントラル整形外科の院長を務めています。整形外科専門医として、骨や関節、筋肉、神経といった運動器の痛みやけがの診療にあたっています。

本記事は、蕨セントラル整形外科の院長である宮沢知修医師が、医学的な観点から内容を確認しています。

椎間板ヘルニアとはどのような状態か

椎間板ヘルニアは、椎間板の内側にある髄核が、外側を包む線維輪の亀裂から飛び出して神経を圧迫する状態です。椎間板は背骨の骨と骨の間にあって、体重を支えながら衝撃をやわらげています。その内側にゼリー状の髄核があり、周囲を線維輪という丈夫な組織が取り囲む構造です。

飛び出し方には段階があります。線維輪の内側にとどまる突出、線維輪を破って出る脱出、さらに元の椎間板から離れてしまう分離という呼び方をします。この段階の違いが、後で述べる自然に小さくなる確率に大きく関わってくるでしょう。

痛みやしびれは、圧迫された神経が支配する範囲に沿って出ます。お尻から太ももの裏、ふくらはぎ、足の甲や裏へと帯状に広がることが多く、左右のどちらか片側だけに出るのが特徴的でしょう。両足に同じように症状が出ている場合は、別の病気も含めて考える必要が出てきます。

首に起こることもありますが、椎間板ヘルニアの多くは腰に生じるものです。この記事では腰椎椎間板ヘルニアに絞って説明していきます。

30代から50代に多い理由

椎間板ヘルニアは、高齢の方よりも働き盛りの世代に多く起こります。日本臨床整形外科学会は、最も多いのは30歳から50歳の人で、50歳を過ぎると椎間板の中身が硬くなり始めてヘルニアが起こりにくくなると説明しています。椎間板ヘルニアの80%以上は腰に発生するとも記されました。

重い物を持ち上げる作業、長時間の運転、喫煙は椎間板への負担を高める要因として知られています。若い世代の椎間板はまだ水分を多く含んでいて、圧力がかかると内側から押し出される力が働きやすいと考えられます。年齢を重ねてから腰の症状が出た場合は、別の原因を先に疑う必要があるでしょう。

前かがみで痛むかどうかで見分ける

椎間板ヘルニアは前かがみになると痛みが強くなり、腰部脊柱管狭窄症は前かがみになると症状がやわらぎます。同じ腰の神経の病気でも、楽になる姿勢が正反対になる点が最大の手がかりです。

椅子に座っているほうが立っているときより痛い、靴下を履こうとして体を丸めると足に痛みが走る、くしゃみや咳で腰から足へ響くという訴えは、椎間板ヘルニアで多く聞かれます。前かがみになると椎間板の前側が圧迫され、飛び出した髄核が神経をさらに押してしまうからでしょう。

一方の腰部脊柱管狭窄症は、蕨セントラル整形外科の診療内容でも、背筋を伸ばして立つとふとももや膝から下にしびれや痛みが出て、少し前かがみになったり腰かけたりすると軽減すると説明しています。歩き続けると症状が出て、休むとまた歩けるようになる間欠跛行が代表的な特徴です。年代にも違いがあり、狭窄症は加齢に伴って増えていきます。

診察で行うのは、あお向けに寝た状態で伸ばした足を持ち上げる下肢伸展挙上テストです。持ち上げる途中で足に痛みが走れば、神経根が圧迫されている可能性を疑う手がかりになります。あわせて、足の感覚が鈍っていないか、足首やつま先の力が落ちていないか、腱反射に左右差がないかを確認していきましょう。神経や椎間板の状態まで詳しく見たいときには、MRIが役立ちます。

何科にかかればよいか迷ったときは、まず整形外科を受診してください。両方が重なっている方もいますし、腰以外の原因で足に症状が出る場合もあるため、自己判断で決めつけないほうが安全でしょう。

多くは自然に小さくなっていく

飛び出した椎間板は、保存療法を続けるうちに小さくなることが多く、しかもタイプによって確率が大きく変わります。ここが椎間板ヘルニアの治療を考えるうえで最も重要な事実でしょう。

Chiuらの系統的レビューによれば、自然に縮小した割合は、元の椎間板から離れた分離型で96%、線維輪を破って出た脱出型で70%、線維輪の内側にとどまる突出型で41%、椎間板全体が膨らんだ膨隆型で13%でした。完全に消失した割合も分離型で43%、脱出型で15%と報告されています。

意外に思われるかもしれませんが、大きく飛び出したヘルニアほど縮小しやすい傾向にあります。線維輪の外に出た髄核は体にとって異物として認識され、免疫細胞が集まって取り除く反応が起こると考えられているためです。画像で強い圧迫が写っていても、それだけで手術が決まるわけではありません。

縮小には数か月かかることが一般的です。岡村らの報告でも、腰椎椎間板ヘルニアの長期自然経過は良好とされていると述べられています。この期間をどう乗り切るかが、保存療法の実際の中身になります。

画像所見と症状が一致しないことがある点も知っておいてください。MRIで小さなヘルニアしか写っていないのに強い痛みが出る方もいれば、その逆もあります。診察で確かめた神経の症状と画像を突き合わせて判断することが欠かせません。

保存療法の進め方と次の段階への目安

椎間板ヘルニアの治療は、痛みを抑えながら動ける状態を取り戻す保存療法から始めます。日本整形外科学会と日本脊椎脊髄病学会がまとめた診療ガイドラインでも、薬物治療や硬膜外へのステロイド注入といった保存治療の有用性が検討され、手術治療と比較する形で整理されました。

痛みの強い時期には、薬物療法として炎症や痛みを抑える薬に加えて、しびれのような神経の痛みに使う薬が処方されます。強い坐骨神経痛が続く場合には、神経の周囲に薬を注射する神経ブロックが選ばれることもあるでしょう。コルセットなどの装具は腰への負担を減らす助けになりますが、長く頼りきると体幹の筋力が落ちるため、使う期間を決めて取り入れる考え方が大切になります。

痛みが落ち着いてきたら運動療法へ移ります。おなかや背中の深い部分にある筋肉を働かせて腰椎を安定させ、股関節や太ももの柔軟性を高めていく流れです。蕨セントラル整形外科では、理学療法士が行う運動器リハビリテーションを実施しており、自宅で続けられるセルフケアの指導も受けられます。

保存療法と手術の中間にあたる選択肢として、椎間板内酵素注入療法という方法も登場しました。ヘルニコアという薬を椎間板に直接注射し、飛び出した髄核を小さくして神経の圧迫をやわらげる方法で、実施できる医療機関は限られています。適応となる条件があるため、検討する場合は主治医に相談してみましょう。

次の段階へ進む判断の目安

保存療法をどのくらい続けるべきかという質問は、診察の場でもよくいただきます。数か月続けても痛みで眠れない、仕事や家事を続けられない、足の力が入りにくい場面が増えているという状態であれば、次の選択肢を検討する時期に入ったと考えてよいでしょう。

期間だけで機械的に区切らないことも大切です。歩ける距離、しびれの範囲、日常生活で困っている場面という3つの変化を記録しておくと、医師と一緒に判断しやすくなります。前回からどう変わったかを伝えられれば、方針の見直しも早くなるでしょう。

手術を検討するタイミングと急ぐべきサイン

手術を考えるのは、保存療法を続けても日常生活の支障が改善しないときと、神経の障害が進んでいるときです。逆にいえば、痛みが徐々に軽くなっている経過であれば、自然な縮小を待つ判断も十分に成り立ちます。

手術の中心になるのは、飛び出した髄核を取り除いて神経の圧迫を解く椎間板摘出術です。背中側から顕微鏡で行う方法のほか、内視鏡を使う低侵襲な術式も広く行われるようになりました。どの方法を選ぶかは、ヘルニアの位置や大きさ、背骨の状態によって変わります。

一方で、待たずに相談してほしい症状があります。日本臨床整形外科学会は、馬尾が侵されると膀胱や腸のコントロールが失われ、この症状が現れた場合は直ちに治療が必要だと注意を促しました。尿が出にくい、尿や便がもれる、股のまわりがしびれるといった変化に加えて、足首が上がらない、つま先立ちができないという筋力低下が短い期間で進む場合も急ぎます。こうした症状があるときは、様子を見ずに受診してください。

手術を受けた後の経過も気になるところでしょう。神経の圧迫が取れても、それまで動かせずにいた筋肉や関節はすぐには元に戻りません。多くの場合は術後にリハビリを継続し、仕事や運動への復帰時期を主治医と相談しながら決めていきます。手術で終わりではなく、その後の体づくりまで含めて計画を立てる姿勢が再発を遠ざけるでしょう。

安静にしすぎることも回復を遅らせる

椎間板ヘルニアで避けたいのは、痛みが強い時期を過ぎても安静を続けてしまうことです。動かない時間が長引くと腰を支える筋力が落ち、かえって痛みが長引く方向に働いてしまいます。

必要な安静は最小限にとどめ、痛みが許す範囲で日常生活を続けるほうがよいと考えられています。もちろん、腰をひねりながら重い物を持ち上げる動作や、痛みを我慢して長時間座り続ける習慣は避けてください。喫煙は椎間板への血流を悪くする要因として知られているため、この機会に見直す価値があるでしょう。

自己判断で強い牽引やマッサージを受けることにも注意が必要です。原因が確かめられていない段階では、かえって症状の悪化を招く可能性が残ります。治らないと感じる背景に、そもそも診断が合っていない場合や、自分の状態に合わない対処を続けている場合が隠れていることも珍しくありません。

再発の予防では、腰を丸めたまま重い物を持ち上げない、同じ姿勢を長く続けないという2点が基本になります。物を持ち上げるときは、体を近づけてから膝を曲げて腰を落とし、背中をまっすぐ保ったまま持ち上げてください。座る時間が長い方は、1時間に一度は立ち上がって腰を伸ばす習慣を取り入れてみましょう。深く腰かけて背もたれを使い、腰の後ろにすき間ができないよう座面との位置関係を整えるだけでも負担は変わります。体重の管理と、体幹を支える筋肉を保つ運動もあわせて続けたいところです。

よくある質問

Q. 椎間板ヘルニアは自然に治りますか。

A. 飛び出した部分が時間とともに小さくなることは珍しくありません。系統的レビューでは脱出型の70%、突出型の41%で自然な縮小が確認されました。ただし縮小には数か月かかることが多く、その間の痛みの管理は必要になります。

Q. 椎間板ヘルニアは何科を受診すればよいですか。

A. まず整形外科を受診してください。問診と神経の診察に加えて、レントゲンやMRIによる画像検査を組み合わせることで、症状の原因と重症度を確認できます。

Q. 椎間板ヘルニアでやってはいけないことは何ですか。

A. 痛みが強い時期を過ぎても安静を続けること、腰を丸めたまま重い物を持ち上げること、原因がはっきりしないまま自己流の対処を続けることの3つに注意してください。

Q. 手術しないで治す方法はありますか。

A. 保存療法だけで日常生活に困らない状態まで改善する方は多くいます。ただし膀胱や腸の障害、短い期間で進む筋力低下があるときは、手術を含めた検討が必要になります。

Q. 保存療法はどのくらいの期間続ければよいですか。

A. 症状やヘルニアのタイプによって幅がありますが、数週間から数か月かけて経過を見ていくことが一般的です。痛みの強さ、しびれの範囲、日常生活で困る場面の変化を記録しておくと、続ける期間の判断がしやすくなるでしょう。

蕨で椎間板ヘルニアの症状に悩んだら

腰から足に走る痛みやしびれが続いているなら、原因を確かめる段階から始めてみてください。自然に小さくなるのを待てる状態なのか、それとも早めの対応が必要なのかは、診察と画像検査で初めて切り分けられます。

蕨セントラル整形外科は、骨、筋肉、靭帯、関節、神経といった運動器の疾患全般に対応しています。症状の原因を確認したうえで、理学療法士が行う運動器リハビリテーションまで一貫して進められる体制です。

JR京浜東北線の蕨駅から徒歩8分の場所にあり、無料駐車場を30台分完備しています。小さなお子さんからご高齢の方まで幅広い年齢層の方が受診されていますので、腰や足の症状が気になる方は一度ご相談ください。

参考文献

1.   Chiu CC, Chuang TY, Chang KH, Wu CH, Lin PW, Hsu WY. The probability of spontaneous regression of lumbar herniated disc: a systematic review. Clinical Rehabilitation, 29(2):184-195, 2015.

2.   日本整形外科学会・日本脊椎脊髄病学会 監修「腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン2021 改訂第3版」南江堂, 2021.

3.   日本臨床整形外科学会「腰椎椎間板ヘルニア」

4.   岡村良久, 原田征行, 工藤正育, 津田英一, 小野睦「腰椎椎間板ヘルニアの保存的治療法とその適応」日本腰痛学会雑誌, 9巻1号, 102-106頁, 2003.

 



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